坐骨神経痛の原因と梨状筋症候群

坐骨神経痛の原因と梨状筋症候群

坐骨神経痛はお尻から太ももにかけて、比較的鋭い痛みを生じる腰痛症状のひとつです。したがって坐骨神経痛は病名ではなくて、何らかの腰痛が引き起こしている症状ということです。

坐骨神経痛を改善するには、原因となっている腰痛の種類を把握して、その原因に沿った治療・リハビリを実施しなければなりませんので、整形外来を受診して、坐骨神経痛の原因となっている腰痛が何かを突き止めることがスタートラインと言えます。

お余談になりますが、人によっては病院を嫌い、整体クリニックなどを受診したいと考える方もいると思います。受診先の選択は個人の考え方によりますが、整
形外科を受診すれば、レントゲンやMRIといった原因を視覚的に判断できる資料を得ることができ、病状の把握を憶測ではなく明確に知ることができます。その
点では、メインの受診先を今後どうするかは別として、整形外科での腰痛症状の把握は欠かせないものと考えられます。

「病院はすぐ手術を勧めてくるのでは?」という先入観をお持ちの方もいるでしょうが、腰痛では、排尿障害等の重篤な症状に及んでなければ、手術を選択することはまずありません。坐骨神経痛でお悩みの方は、まず痛みの原因を正確に把握することを最優先してください。

坐骨神経痛の原因となる腰痛の種類について

骨神経は抹消神経のなかでも、長さ・太さにおいて最大の神経で、腰にある梨状筋から太ももの後側を通過し、膝の裏側あたりまで伸びています(膝の裏側の部
分で総腓骨神経と脛骨神経とに分岐する)。坐骨神経痛と言われる痛みは、腰椎から骨盤を通過してお尻の筋肉から出てくる間のどこかで、圧迫や締付を受けて
発症していると考えられています。

ではどういった腰痛が原因となって坐骨神経痛を引き起こしているかと言うと、いちばん多いのが腰椎椎間
板ヘルニアで、次に梨状筋症候群、そして高齢の方にあっては変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症【注1】、また稀なケースですが脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍(いずれ
も年齢に関係なく発症する)等の腫瘍性病変が原因となる坐骨神経痛があります。

腫瘍性病変が原因の脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍の場合は、他の腰 痛を原因とする坐骨神経痛よりも痛みが強く出るケースが多く、保存療法だけで完治できない場合があります。稀なケースとは言え、自身の腰痛が腫瘍性の腰痛
でないことを確かめる意味でも、整形外科での診断が重要だと言うことが理解いただけるでしょう。

坐骨神経痛の原因となる梨状筋症候群について

きちんとした診断を受ける前に、勝手な自己判断は慎むべきですが、腫瘍性病変が坐骨神経痛の原因となっているケースは稀であり、坐骨神経痛の多くは椎間板ヘルニアと梨状筋症候群が痛みの原因です。

腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛のなかでも比較的ポピュラーな腰痛と言えます。当サイトの姉妹サイト「椎間板ヘルニアなう」のほうでも、この腰痛について詳しく解説していますので、あわせて参考にしていただければと思うのですが、梨状筋症候群という腰痛は、はじめて耳にする方もいるのではないでしょうか。

腰痛とは、簡単に言うと、極度の筋肉疲労なのですが、梨状筋症候群も筋肉疲労が限界に達して、梨状筋という筋肉が機能不全に陥ったものと考えていただくと良いでしょう。

の梨状筋はお尻のインナーマッスルで、骨や神経を支える役目をそれらのいちばん近くで果たしている筋肉です。そしてお尻の筋肉の中でも梨状筋が坐骨神経に
最も近い位置に存在していて、その上には小殿筋、次に中殿筋、そして表層筋としての大殿筋が重なっています。筋肉に負荷がかかると、まず表層筋がそれを受
け止めているわけですが、お尻で言えばその役目を大殿筋が果たしているわけです。

ただし大殿筋は、歩くことが少なくなった現代社会におい て、どんどん使われる機会が減少していて、通常果たすべき機能を果たしきれていません。つまり使われることが少なくなった大殿筋は、瞬く間に弛緩状態に陥
り、機能不全となって、中殿筋の支えに寄りかかるしか手だてがなくなるわけです。この連鎖が小殿筋、梨状筋へと繋がっていき、最終的には梨状筋の直下にある坐骨神経を圧迫してしまうわけです。

梨状筋症候群の治療

梨状筋症候群による坐骨神経痛の治療は、一般的に以下の通りとなります。

    1.非ステロイド性消炎鎮痛剤の内服薬や坐薬の投与による薬物対処療法
    
2.温熱治療(ホットパック)や極超短波、牽引療法などの疼痛緩和
    
3.ブロック注射(梨状筋症候群には坐骨神経ブロックが用いられます)
ブロック注射には、他にも腰部硬膜外ブロック、仙骨部硬膜外ブロック。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の場合に多く用いられる選択的神経根ブロック等もあります。

また生活上の指導としては、一定期間の安静、座位姿勢が長くならないように指示されますし、コルセットの装着を勧められる場合もあります。

かし、これらは対処療法であって根本的な治療にはなりません(もちろん激痛を取り除くという点では大きな意味があります)。痛みが緩和されたら、次に行う
こととして、大殿筋、中殿筋、小殿筋、そして梨状筋といったアウターマッスルからインナーマッスル全体の強化を図ることが重要であることは言うまでもあり
ません(前述の通り、梨状筋症候群の原因がすぐ筋肉疲労を起こしてしまうことにあることからも明らかですね)。

【注1】
高齢者の坐骨神経痛の原因には、腰部脊柱管狭窄症があげられます。この腰痛に関しては「脊柱管狭窄症nowのほうで詳しく解説しています。