ストレスを開放することで坐骨神経痛も治る? 読書によって腰痛を治すTMS理論とは

ストレスを開放することで坐骨神経痛も治る? 読書によって腰痛を治すTMS理論とは

一般的な腰痛や坐骨神経痛の新しい治療法に、TMS理論というものがあります。比較的新しい治療法ですが、はじめてアメリカで発表されたのが1984年のことですから、ここ数年で広められた治療法ではありません。ただし日本にTMS理論が一般的に紹介されたのが2002年に発売された「腰痛は〈怒り〉である 痛みと心の不思議な関係」(長谷川淳史 春秋社)という書籍です。まだまだ知る人ぞ知るといった理論ではないかと思います。

TMS(Tension Myositis Syndrome)理論を見いだしたのは、ニューヨーク大学医学部臨床リハビリテーション医学科教授のサーノ博士です。TMS(Tension Myositis Syndrome)を日本語に訳すと、緊張性筋炎症症候群となり、腰痛だけでなく広く筋骨格系疾患の治癒に有効とされる治療法です。

サーノ博士のTMS理論では、肩こり、腰痛、手足のしびれ、いわゆる五十肩や、様々な関節痛といった筋骨格系疾患を、精神的な「抑圧」からくる病気だと位置づけており、ストレスによって生じた感情を防御本能によって「抑圧」することが、これら筋骨格系疾患のそもそもの原因と考えました。

そして、一度抑圧によって深層に押し隠された感情も、いずれ表層心理に再浮上してくるわけですが、この感情はもともと押し込めて意識から遠のけておいた不快なものですから、再浮上してくる不快な感情に対処するために、体に生じる生体防御反応によって、坐骨神経痛などの筋骨格系疾患が引き起こされているというわけです。

TMS理論と謳っていなくても、坐骨神経痛などの腰痛の原因にストレスを加える記述がよく見られますから、腰痛のすべての原因に緊張性筋炎症症候群があてはまるとは考えられないとしても、ストレスが腰痛を引き起こす引き金となっていることは認められているのだと考えられます。

実際にストレスは自律神経をアンバランスにさせますので、血行不良と酸素不足が生じ、漢方などで言うところの淤血状態になります。淤血状態になると東洋医学では、神経や周辺組織は痛みやしびれといった緊急警報を発すると考えられており、こうした東洋医学的な考え方は、医師の間でも理解されているものです。TMS理論は、漢方の考えから誕生したものではありませんが、血行不良が痛みの原因をつくりだしているとする考え方など共通するところが認められます。

ただし、TMS理論が非常にユニークなのは、治療プログラムが読書である点です。簡単に流れを説明しますと、TMS理論を読む→自身に対するストレスリストを作成する→TMS理論の再読する、といったものです。TMS理論では、ストレスを上手に開放することで、坐骨神経痛などの腰痛を改善していくものですから、人間に本来備わっている自然治癒力を重視している治療法と考えられます。やはりこの点でも、東洋医学との共通点を見ることができますね。